らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

math-alg

飽きたらやめようGalois理論(26)―有限K-代数の構造定理

Theorem (有限 $K$-代数の構造定理) $K$: 体, $A$: $K$-代数。 $\dim_K A (1)$A$ の極大イデアルは高々有限個である。($m_1,\cdots, m_r$) (2)$J := m_1 \cap \cdots \cap m_r = \prod m_j$ とする時、ある $n \in \N$ に対して $J^n = 0$ である。 (3)$A \s…

ついで

Lemma $A$: 環。 $m_1, m_2 \subset A$ を異なる極大イデアルとする。この時、 $m_1$ と $m_2$ は互いに素である。 proof $ 1 \not\in m_1 + m_2$ とする。ところが、 $m_1 + m_2$ はイデアルであり、 $m_1 \subset m_1 + m_2 \subsetneq A$ であるので、$m_…

どっかにメモったっけ?

Lemma $R$: 環。 $M $: $R$-自由加群とし、その基底の濃度を有限とする。この時、$\varphi \in \mathrm{Hom}_R(M,M)$ は単射であれば全射となり、従って(自己)同型写像になる。 proof $\{e_j\}_{1 \leq j \leq n}$ を $M $ の基底とする。 $\{ \varphi(e_j) …

飽きたらやめようGalois理論(25)―Base change後の構造

$A$ を環として、 $I \subset A$ をイデアルとする時、 $B = A/I$ という $A$-代数を考えられるけど、 $M $ の係数環を $A$ から $B = A/I$ にbase changeした時にどういう構造になるんでしょうかね?というのが以下の命題。 係数を $I$ で割ることは、自分 …

飽きたらやめようGalois理論(24)―Base change theorem

$A$: 環, $B: A$-代数, $M: A$-加群とする。 $B$ は $A$-加群でもあるので、 $A$-加群としてのテンソル積 $B \otimes_A M $ を考えることができる。 一方これに $B$-加群としての構造を導入できる。(the base change of $M $ to $B$ (係数環の変換 *1 )) こ…

飽きたらやめようGalois理論(23)―A-加群の基底

閑話休題的なー。$A$: 環。 $M,N: A$-加群の話に戻る。 $A$ はそれ自体 $A$-加群であるので、\begin{matrix} A \times M & \overset{f}{\longrightarrow} & M \\ \varphi \searrow & \backquad\backquad \circlearrowleft & \backquad \nearrow \tilde{f} \\…

テンソル積(3)

さて、無限次元ベクトル空間に思いを馳せてみよう。今度はM. Reed-B. Simonの「Method of modern mathematical physics - Functional Analysis」を参照しよう。一般のBanach空間においてはSchauder basis - Wikipedia, the free encyclopediaが考えられるが…

テンソル積(2)

テンソル積はとても苦手なのでもう少し見てみよう。今度は「ベクトル解析30講」を参照する。 $K= \R \ \text{or}\ \C$ として $K$ 上の有限次元ベクトル空間 $V,W$ をとってみよう。前回はただの $A$-加群を前提としたわけだが、一般に自由加群であるとは限…

飽きたらやめようGalois理論(22)とテンソル積(1)

テンソル積。昔からちょー苦手。実体を感じられない。あまりに抽象的でよく分からん。 $A$: 環。 $M,N$: $A$-加群とする。 $P$: $A$-加群, $f: M \times N \to P$: $A$-双線型写像というペア $(P,f)$ をどのようなものを選ぼうとも、裏から「$M $ と $N$ の…

飽きたらやめようGalois理論(21)―完全体

き、キターーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!完全体。といっても、クリーチャー→ゴリラ→イケメンではないのだが...。 Def $K$ を標数 $p$ の体とする。 $K$ が完全であるとは、Frobenius写像 $F: K \to K;\ x \mapsto x^p$ が全射である時を言う。 例 0)標数0の体は…

飽きたらやめようGalois理論(20)―分離性の同値条件

$L/K$ を有限次拡大とする。 Def $[L:K]_{sep} := |\mathrm{Hom}_K(L,\bar{K})|$もし、 $L=K(\alpha)$ の場合には、 $[L:K]_{sep}$ は $\alpha$ の最小多項式の相異なる根の個数である。($\varphi \in \mathrm{Hom}_K(L,\bar{K})$ は $\alpha$ を別の根にう…

飽きたらやめようGalois理論(19)―分離的

先の命題の $Q$ に注目すると以下の性質があった。 $Q$ が既約で $(Q,Q^\prime) = 1$ ならば $Q$ は重根を持たない。つまり、 $Q$ の根はすべて異なり、splitting field の中で $\mathrm{deg}(Q)$ 個の値として得られる。 Def $P \in K[X]$ を既約多項式とす…

飽きたらやめようGalois理論(18)―被約多項式

$K$ を標数 $p$ の体とする。 $P \in K[X]$ を既約多項式とし、 $X^p$ についての多項式になっているとする。例えば、 $(X^p)^2 + 2(X^p) + 1$ など。 更に、一般に $X^{p^r}$ の形の多項式になっているとして、 $P(X) = Q(X^{p^r})$ とする。ここで $r$ と…

飽きたらやめようGalois理論(17)―有限体で遊ぶ

飽きたらやめようGalois理論(16)―有限体再考 - らんだむな記憶を考察しよう。 $p = 3,\ n = 2$ の場合を考える。 $\mathbb{F}_3 = \{0,1,2\}$ そしてその上の既約多項式として、 $X^2 + 1$ をとる。(飽きたらやめようGalois理論(12)―有限体を考える - らんだ…

飽きたらやめようGalois理論(16)―有限体再考

代数学はもぅマヂ無理ってくらい難しいな。 Theorem $K$: 体, $G$: $K^\times$ の有限部分群。この時、 $G$ は巡回群になる${}_\square$「体とガロア理論」第2章定理2.27や「代数概論」第V章命題6.1として載っている。 Cor1 $K \supset \mathbb{F}_p, \ [K : …

飽きたらやめようGalois理論(15)―Eisensteinの既約判定法再考

飽きたらやめようGalois理論(3)―Eisensteinの既約判定法 - らんだむな記憶でえいやとしていた部分について。 $\mathbb{F}_p[X]$ で $\bar{a}_n X^n = \bar{Q}(X)\bar{R}(X)$の時の議論。 $\mathbb{F}_p[X]$ で $\bar{Q}(X) = \bar{b}_k X^k + \cdots + \bar{…

Galois理論の本(2)

Galois理論の本 - らんだむな記憶で触れた明解ガロア理論 原著第3版 (KS理工学専門書)は結局原著のtypoはどうなっているのだろうか調べてみた。 George M. Bergman -- undergraduate course materialsのerrataのすべてではないがかなり修正されている。errat…

PARI/GP

PARI/GP Development Headquartersなんか便利そう。しかも速い。 PARI/GP Development Headquartersブラウザからも使えちゃう。pythonからも使えるんかなと思ったら cypari 1.2.2 : Python Package Index Google Code Archive - Long-term storage for Googl…

飽きたらやめようGalois理論(14)―根は区別できるか?

かくして、 $\mathbb{F}_5[X]$ の既約多項式 $X^2 + 2$ の根 $\sqrt{3}$ は $\mathbb{F}_5[X]$ の代数的閉包 $\bar{\mathbb{F}}_5$ からとってくることができる。相変わらず標数は5なので、$\mathbb{F}_5[X]$ も $\bar{\mathbb{F}}_5$ も $\Q$ の部分体には…

飽きたらやめようGalois理論(13)―根体再考

根体再考。 $\mathbb{F}_5[X]$ の既約多項式 $X^2 + 2$ の根 $\sqrt{3}$ はどっからとってくるんだ?と。 $K \subset L$ で別の安全な体に包まれている場合は、しれっと $L$ からとってくる!と言えば良い。なので、 $\R$ とか $\Q$ で遊ぶ分には $\C$ から…

飽きたらやめようGalois理論(12)―有限体を考える

抜群に胡散臭い。 「$\mathbb{F}_{p^n}$ は任意の $n$ 次既約多項式 $P \in \mathbb{F}_p[X]$ の stem field かつ splitting field である。」なんて本当か? という感じになるのが代数学の嫌いなところではある。ごく一般に扱う体は $\R$ や $\C$ といった…

飽きたらやめようGalois理論(11)―有限体続き

有限体続き。 Theorem $\mathbb{F}_{p^n}$ は任意の $n$ 次既約多項式 $P \in \mathbb{F}_p[X]$ の stem field かつ splitting field である。 proof $P(\alpha) = 0$ なる $\alpha$ を1つとって $\mathbb{F}_p[\alpha] (\subset \bar{\mathbb{F}}_p)$ を考…

飽きたらやめようGalois理論(10)―有限体

有限体。 元の個数が有限である体 $K$ 。ということは、 $1+1+\cdots$ はいつか 0 になる。つまり、 $p\cdot 1 = 0$ で、 $p$ は適当な素数。よって標数 $p$ の体。その素体には $\mathbb{F}_p = \Z/(p)$ を持つという。$K$ を $\mathbb{F}_p$ の有限次拡大…

Galois理論の本

Galois Theory, Fourth Editionが結構よろしいようなことを書いているページがあるが、3rd editionはなかなかエキサイティングなようだ。1error/pageな勢いのようで...。 George M. Bergman -- undergraduate course materialsの途中で Corrections and Clar…

飽きたらやめようGalois理論(9)―代数的閉包を考える

代数閉体に思いを馳せたい。素数 $p$ に対し、 $\mathbb{F}_p$ のように標数 $p$ の体が存在する。 さて、任意の体はZornの補題を使うことで代数的閉包を持つことが示せる。体 $K$ の代数的閉包を $\bar{K}$ と書こう。 $\bar{K}$ の標数は何であろうか? こ…

飽きたらやめようGalois理論(8)―stem fieldの一意性

stem fields間の準同型写像について考える。 体 $K$ 上の $d$ 次の既約多項式 $P$ が根 $\alpha,\beta$ を持つとして、 $\beta \not\in K[\alpha]$ と仮定する。 $K$-準同型写像 $\varphi:K[\alpha] \to K[\beta]$ としてはどういうものが考えられるか?まず…

飽きたらやめようGalois理論(7)―分解体の拡大次数を考える

「代数概論」第V章 例2.11より。 $K = \Q,\ f(X) = X^3 - 5$ についての分解体。Eisensteinの既約判定法を $p=5$ に対して使うと $f$ は $\Z[X]$ で既約、従ってGaussの補題より $\Q[X]$ で既約であることが分かる。 根は $\omega = \frac{-1 + \sqrt{-3}}{2…

飽きたらやめようGalois理論(6)―単拡大で遊ぶ

円周率×無理数×超越数 - らんだむな記憶で触れたようにTaylor展開を用いて $\pi$ が超越数であることを示すことができる。 というわけで、 $\Q$ の単拡大 $\Q(\sqrt{-1})$ と $\Q(\pi)$ は良いサンプルであるように思う。 $\Q[X]/(X^2 + 1) \simeq \Q(\sqrt{…

飽きたらやめようGalois理論(5)―Gaussの補題で遊ぶ

Gaussの補題 $P \in \Z[X]$ をとる。 この時、$P$ は $\Z[X]$ で既約 $\Rightarrow$ $P$ は $\Q[X]$ でも既約 証明 対偶をとって、$P$ は $\Q[X]$ で可約 $\Rightarrow$ $P$ は $\Z[X]$ で可約を示す。 $P = Q R,\ Q,R \in \Q[X]$ とする。$Q$ の係数の分母…

飽きたらやめようGalois理論(4)―根体と分解体

stem field... 手持ちの本で言うと「根体」か? 定義 $P \in K[X]$ を既約とする。この時、$K$ の拡大 $E$ が $P$ についての stem field であるとは、 \begin{equation} \exists \alpha \in E \ \text{s.t.}\ P(\alpha) = 0 \quad\text{and}\quad E = K[\al…