らんだむな記憶

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飽きたらやめようGalois理論(18)―被約多項式

$K$ を標数 $p$ の体とする。
$P \in K[X]$ を既約多項式とし、 $X^p$ についての多項式になっているとする。例えば、 $(X^p)^2 + 2(X^p) + 1$ など。
更に、一般に $X^{p^r}$ の形の多項式になっているとして、 $P(X) = Q(X^{p^r})$ とする。ここで $r$ としてはこの形式で考えられる最大のものを考えている。 $P$ の既約性により $Q \in K[X]$ も既約である。
もし $Q(X) = X^{p^3} + X^{2p} + X^p + 1$ のように指数が $p$ で割り切れる冪と定数項からなる場合、例えば、 $Q(X^{p^r}) = (X^{p^r})^{p^3} + (X^{p^r})^{2p} + (X^{p^r})^p + 1$ の場合、これは、
$Q(X) = (X^{p^{r+1}})^{p^2} + (X^{p^{r+1}})^{2} + X^{p^{r+1}} + 1$
となってしまい、 $P$ は $X^{p^{r+1}}$ の多項式となる。しかし、 $r$ の最大性よりこのようなことはできないので、 $Q$ の指数の中には $p$ で割り切れないものがある。従って、 $Q$ の微分について $Q^\prime \neq 0\ \text{in}\ K[X]$ となる。
$\theta \in K$ に対して、 $Q$ の既約性より、 $(X-\theta) \!\!\not|\, Q$ である。また、 $\mathrm{deg}(Q) > \mathrm{deg}(Q^\prime)$ であるので、$Q \!\!\not|\, Q^\prime$ である。よって、 $(Q,Q^\prime) = 1$ となる。

次に、 $\lambda$ を $P$ の根とする時、 $P = (X - \lambda)R$ と書ける。
この時、 $\mu = \lambda^{p^r}$ は $Q$ の根であって、 $Q(y) = (y - \mu)S$ と書ける。 $Q$ は重根を持たないので、 $S(\mu) \neq 0$ である。
すると、 $P(X) = Q(X^{p^r}) = (X^{p^r} - \lambda^{p^r})S(X^{p^r}) = (X - \lambda)^{p^r}S(X^{p^r})$ となる。 $S(\mu) \neq 0$ より、 $S(\lambda^{p^r}) \neq 0$ なので、 $(X - \lambda) \!\!\not|\, S(X^{p^r})$ である。
よって、 $\lambda$ の重複度は $p^r$ であることが分かった。

以上をまとめて以下の命題を得る。

Prop

$K$ を標数 $p$ の体とする。$P \in K[X]$ を既約多項式とする。
$P(X) = Q(X^{p^r})$ を上記のものとする。この時、 $Q$ は重根を持たない。
また、 $P$ のすべての根は重複度 $p^r$ を持つ${}_\square$