- 飽きたらやめようGalois理論(22)とテンソル積(1) - らんだむな記憶
- テンソル積(2) - らんだむな記憶
- テンソル積(3) - らんだむな記憶
- 飽きたらやめようGalois理論(23)―A-加群の基底 - らんだむな記憶
- 飽きたらやめようGalois理論(24)―Base change theorem - らんだむな記憶
- 飽きたらやめようGalois理論(30)―A-代数のテンソル積 - らんだむな記憶
- 飽きたらやめようGalois理論(31)―A-代数のテンソル積の一意性 - らんだむな記憶
- 飽きたらやめようGalois理論(32)―A-代数のテンソル積の例 - らんだむな記憶
あたりでテンソル積に触れてきたが、やはりいまいちピンと来ない部分もある。こういう時はごちゃごちゃしたものは忘れて素朴にベクトル空間で考えるのが良い。Kronecker 積 (2) - らんだむな記憶 の定義を見ると、命題 39.1 を介すると、ベクトル空間 $E$ と $F$ の基底を双線型写像で移すと一次独立な集合になることがわかる。それが $M$ を張るというのがテンソル積の定義だと言うのだから、$E$ と $F$ の基底が $M$ の基底になっているということだ。つまり、$M$ は $E$ と $F$ を混ぜて自然に作られるベクトル空間ということになろう。
実際、$\C^2$ と $\C^3$ の Kronecker 積によるテンソル積を考えると、$\C^2$ と $\C^3$ の標準基底同士の Kronecker 積が $\C^6$ の標準基底になることは簡単に確かめられる。
飽きたらやめようGalois理論(22)とテンソル積(1) - らんだむな記憶 ではシチュエーションがベクトル空間ではなく、自由加群のケースのように基底を考えることができないので、一次独立云々の代わりに「普遍性」を用いて定義している。要はこちらのほうが抽象度の高い概念ということになるが、逆にピンと来ない部分が大きくなるように感じる。