らんだむな記憶

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Galois理論(64)―線型無関連性の例

$K \subset L_1, L_2 \subset \bar{K}$ とする。 $[L_1:K]=m,\ [L_2:K] = n$ とし、 $(m,n)=1$ とする。
この時、 $L1$ と $L_2$ は線型無関連である。
∵) $[L_1 L_2:K] = [L_1 L_2: L_1][L_1:K]$ より $m | [L_1 L_2:K]$ であり、同様に $n | [L_1 L_2:K]$ である。故に $mn | [L_1 L_2:K]$ である。一方、 $L_1 L_2$ の $K$ 上の基底は高々 $mn$ である、つまり $[L_1 L_2:K] \le mn$ であるので、結局 $[L_1 L_2:K] = mn$ である。

$\Q(\sqrt[5]{2})$ と $\Q(\zeta_5)$ は線型無関連である。何故なら $[\Q(\sqrt[5]{2}):\Q] = 5$ と $[\Q(\zeta_5):\Q] = 4$ であるからである。($\zeta_5$ は $X^4+X^3+X^2+X+1=0$ の根。)

一方、 $L_1 = \Q(\sqrt[5]{2})$ と $L_2 = \Q(\zeta_5 \sqrt[5]{2})$ は $\Q$ 上の拡大次数がともに5であり、線型無関連ではない。(共に $X^5-2$ の根。)
ここで $L_1 \cap L_2 = \Q$ に注意すると、「$\Q \subset L_1, L_2 \subset \bar{\Q}$ $\not\Rightarrow$ $L_1$ と $L_2$ は $L_1 \cap L_2$ 上線型無関連」という形になっている。ここで、 $L_1/\Q$ と $L_2/\Q$ はどちらも $X^5-2$ の splitting field ではないのでガロア拡大ではない。もし少なくとも片方がガロア拡大のケースであれば $\Rightarrow$ が成立することをGalois理論(65)―ガロア拡大における線型無関連性(1) - らんだむな記憶で見る。
なお、このケースで登場するガロア拡大としては、標数0のケースであることから、 $X^5-2$ の分離拡大体を考えれば良く、 $\Q(\zeta_5, \sqrt[5]{2})$ がそれになる。例えば、 $\Q(\sqrt[5]{2})$ と $\Q(\zeta_5, \sqrt[5]{2})$ は $\Q(\sqrt[5]{2}) \cap \Q(\zeta_5, \sqrt[5]{2}) = \Q(\sqrt[5]{2})$ 上線型無関連である。