らんだむな記憶

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Galois理論(62)―合成拡大

Def (合成拡大)

$K \subset L_1,L_2 \subset L$ を体の拡大とする。(超列的な例としては例えば、 $L = \bar{K}$)*1
この時、合成拡大 $L_1 L_2$ とは $L_1$ と $L_2$ が生成する拡大体、つまり $L_1 L_2 = L_2 L_1 = K(L_1 \cup L_2)$ のことを言う${}_\square$

別の観点では、
\begin{array}{cccc}
j: & L_1 \otimes_K L_2 & \to & L \\
& \ell_1 \otimes \ell_2 & \mapsto & \ell_1 \ell_2
\end{array}

を考えることができる。これを確認しよう。
$K$ 上の拡大体は $K$-代数と見ることができるので、飽きたらやめようGalois理論(30)―A-代数のテンソル積 - らんだむな記憶より、 $K$-代数のテンソル積 $L_1 \otimes_K L_2$ を考えることができる。
$L_1 \hookrightarrow L$, $L_2 \hookrightarrow L$ という埋め込みを考えると普遍性により対応する $j \in \mathrm{Hom}_K(L_1 \otimes_K L_2,L)$ がただ1つ定まって、 $j(\ell_1 \otimes \ell_2) = \ell_1 \ell_2 \in L$ となることが分かる。また、 $A = \mathrm{Im}(j)$ は $L$ の部分 $K$-代数になる。
$L/K$ を代数拡大とする時、 $0 \neq \alpha \in A \subset L$ について、 $P_\min(\alpha,K)$ の定数項を1になるように調整すると、 $a_n\alpha^n + \cdots a_1\alpha + 1 = 0$ となる。よって、 $\alpha^{-1} = -a_n \alpha^{n-1} - \cdots - a_1$ であるが、 $\alpha \in A$ より 右辺 $\in A$ となるので、 $A$ は体である。よって特に $L$ の部分体である。更に、 $j: \sum c_{ij} \ell_1^{(i)} \otimes \ell_2^{(j)} \mapsto \sum c_{ij} \ell_1^{(i)} \ell_2^{(j)}$ であるので、 $j$ の像は $L_1$ と $L_2$ によって生成される $K$ 上の代数拡大体、即ち $L_1 L_2$ である。式で書くと $j(L_1 \otimes_K L_2) = L_1 L_2$ である。Galois理論(63)―線型無関連な拡大 - らんだむな記憶で見るように、 $L_1$ と $L_2$ が $K$ 上線型無関連という性質を持つ時、 $j$ は体としての同型写像になる。
$L/K$ が代数拡大とは限らない一般論では部分 $K$-代数 $j(L_1 \otimes_K L_2)$ の商体をとる必要がある... ようだ。

Prop

(1) $L_1/K$ が分離的 (resp. 純非分離的, 正規, 有限(拡大次数 $= n$)) $\Rightarrow$ $L_1 L_2/L_2$ が分離的 (resp. 純非分離的, 正規, 有限(拡大次数 $\le n$))
(2) $L_1/K$, $L_2/K$ が分離的 (resp. 純非分離的, 正規, 有限(拡大次数 $= m $ および $n$)) $\Rightarrow$ $L_1 L_2/K$ が分離的 (resp. 純非分離的, 正規, 有限(拡大次数 $\le mn$))

*1:$\Q \subset \Q(\pi), \Q(e) \subset \R$ がある。