らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

Galois理論(48)―ガロア対応補足

「明解ガロア理論」より。

Remark

$L/K$: 有限次ガロア拡大とする。
$K \subset E \subset F \subset L$ なる体の拡大を考えるとき、飽きたらやめようGalois理論(45)―性質の連鎖と正規拡大補足(1) - らんだむな記憶でまとめた内容から、 $L/E$, $L/F$ はガロア拡大になる。この時、それぞれのガロア群を考えると、 $\mathrm{Aut}(L/E)$ と $\mathrm{Aut}(L/F)$ であるが、 $L$ 上の同型写像という前提のもと、より多くの元を固定にするのは後者であるので、 $\supset$ の包含関係がある。よって、中間体とガロア群では逆向きの包含関係が現れる。
更には、Galois の基本定理により、一番大きい体とガロア群から固定体として中間体を復元できるので、ガロア群同士の包含関係から拠り所である中間体の包含関係を導出できる。つまり、
\begin{equation}
K \subset E \subset F \subset L \iff\mathrm{Gal}(L/K) \supset \mathrm{Gal}(L/E) \supset \mathrm{Gal}(L/F) \supset \mathrm{Gal}(L/L) = \{ 1 \}
\end{equation}

となる。

次、群の準同型定理から以下が従う。

Remark

$K \subset F \subset L$ を有限次拡大とする。 $L/K$, $F/K$ が共にガロア拡大である場合、以下が従う。
\begin{equation}
\bar{\varphi}: \mathrm{Gal}(L/K)/\mathrm{Gal}(L/F) \overset{\sim}{\to} \mathrm{Gal}(F/K)
\end{equation}

まったくインチキな式にはなるが、文字式の割り算のように見ると、 $\frac{L/K}{L/F} = F/K$ という形になっている。正規部分群での除算を「~で割る」のことを「~は(性質が良くて)面白くないから無視する」というニュアンスでとらえると、「$K$ を固定する $L$ 上の同型写像という情報のうち、$F$ を固定することを忘れよう」⇒「$F$ 上に着目すると $K$ は固定するが $F$ についての制限のことを忘れてしまった体の同型写像」⇒「$\mathrm{Gal}(F/K)$」と考えても良いかもしれない。


以上までで、有限次の場合には大変対称性の高い関係性があることが分かった。
では、有限次という仮定を外すとどうなるか?

Remark

$L/K$: 無限次ガロア拡大とする。この時、 $\Phi$, $\Psi$ は依然として意味を持つが互いに逆の関係ではなくなり、全単射性が崩れる${}_\square$

これについては、Galois理論(53)―ガロア対応の全単射性が崩れるケース - らんだむな記憶で確認することにして幾つか計算例を見ていく。