らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

既約多項式

不勉強であまり理解できていないGalois理論の講義(のビデオ)などを見てみる。
多項式が既約(irreducible)というのは、それ以上因子分解できない状態を指しているはずだけど、係数体として何を考えるかで変わってくる。
整数係数の多項式$X^4 + 1$は係数を実数体とする場合には既約だ。複素数体で因子分解してみると、$\omega = (\sqrt{-1})^{1/2} = \cos(\frac{\pi}{4}) + \sqrt{-1}\sin(\frac{\pi}{4})$として、
\begin{align}
X^4 + 1 = (X^2)^2 - (\sqrt{-1})^2 &= (X^2 - \sqrt{-1})(X^2 + \sqrt{-1}) \\
& = (X - \omega)(X + \omega)(X - \bar{\omega})(X + \bar{\omega})
\end{align}

となるが、どう組み合わせても実数係数の2つの多項式には分解できない。ということで、複素数体の範囲では可約だが実数体の範囲では既約になっている。

一方、
\begin{align}
(X + 1)^4 = X^4 + \binom{4}{1}X^3 + \binom{4}{2}X^2 + \binom{4}{3}X + 1 &= X^4 + 4X^3 + 6X^2 + 4X + 1 \\
& \equiv X^4 + 1 \pmod{2}
\end{align}

\begin{align}
(X^2 - X - 1)(X^2 + X - 1) = (X^2 - 1)^2 - X^2 &= X^4 - 3X^2 + 1 \\
& \equiv X^4 + 1 \pmod{3}
\end{align}

のように、$\mathbb{F}_2 = \mathbb{Z}/2\mathbb{Z}$や$\mathbb{F}_3 = \mathbb{Z}/3\mathbb{Z}$のような標数が0でない体の場合、こんな奇妙な因子分解ができてしまう。
こんなものを見ると、普通に実数か複素数だけしか触りたくないなと思うわけだ。