らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

C*-代数と作用素論(1)

Amazon.co.jp: C*-Algebras and Operator Theory: Gerald J. Murphy: 洋書は何年どころじゃなく放置してしまった本だ。PDE等による「硬い解析」だけでなく、作用素環論による「柔らかい解析」も知りたいなぁと思いつつ*1、実質手つかずのままになってしまった。こちらもノートを書いて何かしらちょっとでも進めたい... という気持ちがある。

―――――・・・

CHAPTER 1 Elementary Spectral Theory

...
代数 $A$ の左 (resp. 右) イデアルとは $A$ の部分ベクトル空間 $I$ であって
$$
a \in A \ \text{and}\ b \in A \Rightarrow ab \in I\ (\text{resp.}\ ba \in I)
$$

が成立するようなものをいう。
イデアル $I$ が modular であるとは、ある $u \in A$ がとれて、すべての $a \in A$ に対して $a - au \,\,\,\text{and}\,\,\, a - ua \in I$ が成立するときを言う。 Zorn補題より、すべての proper な modular イデアルは極大イデアルに含まれることが容易に示される。

――― という部分について自分にとって容易というほどでもないので示しておきたい。
$\mathfrak{A} := \{J;\ J \text{は}A\text{のイデアルで} I \subset J\}$ とおく。 $I \in \mathfrak{A}$ なので、 $\mathfrak{A} \ne \varnothing$ である。 $\mathfrak{A}$ に対し包含関係で半順序を入れることで $\mathfrak{A}$ は半順序集合になる。 $J_\lambda,\ \lambda \in \Lambda$ を $\mathfrak{A}$ の全順序部分集合とする。この時 $\cup_{\lambda \in \Lambda} J_\lambda$ はその上界となるので、 $\mathfrak{A}$ は少なくとも1つの極大元 $\mathfrak{I}$ を持つ。 $\mathfrak{I}$ はすなわち極大イデアルであり、 $I$ を含むようなものである。もし極大イデアルでないとすると、ある $A$ のイデアルで $\mathfrak{I}$ を真に含むものがあるがこれは $I$ をも含む。よって、 $\mathfrak{A}$ に属することになるが、これは $\mathfrak{I}$ が極大であることに矛盾する。よって $\mathfrak{I}$ は $I$ を含むような $A$ の極大イデアルである。 ${}_\square$
という感じだろうか。 Zorn補題の適用は、解の公式で 2次方程式を解くようなものであり「なんか決まり事に従って書いたら一応答えが出るらしいし、丸がもらえる」という気分のものなので、正直イマイチ正しいことをやっている気持ちにはなれない...。

*1:別にPDEを熟知しているわけでもないのだが...。