らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

準古典解析(1)

Category Theoryの件でぼちぼちWebノート的な使い方も(手間はかかるが)有益そうな気がしてきたので、Amazon.co.jp: Semiclassical Analysis (Graduate Studies in Mathematics): Maciej Zworski: 洋書Amazon.co.jp: C*-Algebras and Operator Theory: Gerald J. Murphy: 洋書にも適用してみたい。ガチのPDE本にも適用したいが、少々後半の部分をやっているせいでまったく進みそうにないので、序盤もやっていないこれらの本のほうが良さそうだ。正直中盤になると亀の歩みになるので、Webで書いても全然進まなくなる。終盤までさくっといける系の本は「1週間でわかる~」とか「猿でもわかる~」くらいだろう。

―――――・・・

Chapter 1 INTRODUCTION

1.1 BASIC THEMES

(i)Schrödinger 方程式
$$
ih\del_t u = - h^2 \Delta u + Vu
$$

の解は $h \to 0$ とした時にその挙動を古典力学によってどうやって、そしてどの程度まで決定することができるか?同様に、関連するSchrödinger 方程式
$$
- h^2 \Delta u + Vu = Eu
$$

についてはどうか?

(ii)逆に、古典力学に関連づくさまざまな数学的な対象、例えば symplectic 変換が与えられた時、どうすればそれらをうまいこと ``量子化'' できるか?

1.2.1. Observables

与えられた函数 $a: \R^n \times \R^n \to \C,\ a = a(x, \xi)$ を phase space 上の ``古典的観測可能量'' として考えることができる。ここで $x$ は位置をあらわし、 $xi$ は運動量をあらわす。通常 $a$ を symbol (表象) と呼ぶ。

$h > 0$ を与えられたものとしよう。観測可能量 $a$ を対応する量子論的観測可能量 $a^w(x, hD)$ に関連づける。ここで $a^w$ は適当な滑らかな函数 $u$ に対して次の公式で作用素として定まるものである。
$$
a^w(x, hD)u(x) := \frac{1}{(2\pi h)^n} \int_{\R^n} \int_{\R^n} e^{\frac{i}{h}\langle x - y, \xi \rangle} a\Big(\frac{x + y}{2}, \xi \Big) u(y) d \xi dy
$$

これは、Weyl の量子化公式であり、 $a^w(x, hD)$ は微分作用素である。

Chapter 2 SYMPLECTIC GEOMETRY AND ANALYSIS

2.1. FLOWS

$V: \R^N \to \R^N$ を滑らかなベクトル場とする。 $z \in \R^N$ を固定し常微分方程式 (ODE)
\begin{equation}
\begin{cases}
\dot{w} = V(\omega) \hspace{2em} (t \in \R) \\
w(0) = z, \hspace{10em} (2.1.1)
\end{cases}
\end{equation}

を解く。flow (2.1.1) の解は各 $z$ に対して存在し、 $t \in \R$ について唯1つであると仮定する。*1

NOTATION

$$
\varphi_t z := w(t, z)
$$

を定める。しばしば
$$
\varphi_t =: \exp(tV)
$$

とも書く。*2

LEMMA 2.1 (flow map の性質)

(i) $\varphi_0 z = z \ \text{for all}\ z \in \R^N$
(ii) $\varphi_{t + s} = \varphi_t \varphi_s \ \text{for all}\ s,t \in \R$
(iii)各 $t \in \R$ に対して、写像 $\varphi_t: \R^N \to \R^N$ は微分同相写像であり、
$$
(\varphi_t)^{-1} = \varphi_{-t}
$$

が成立する。

――― という程度のとこしかまだ読んでなくて、準古典解析についてちっとも入れないまま数年が過ぎた。LEMMA 2.1の(i)は解が時刻0で初期値であることを言っていて、(ii)は時刻0の初期値から始めて時刻 $s+t$ 経過後の解と、時刻 $s$ での値から始めて時刻 $t$ 経過後の解とが解の一意性から一致することから従う。(iii)は少し面白い表現だなと思うが、解がパラメータに滑らかに依存することを言い直したものである。少々古い本ではあるが、Amazon.co.jp: 常微分方程式 (1974年) (共立数学講座〈13〉): 木村 俊房: 本が細かく書いてくれているように思う。
何かしらノート(と言えるのかコレ?)を書くことで続きを読んでいけるようにしたい...。

*1:要するに、唯1つの時間大域解の存在の仮定。

*2:$\dot{w} = V \cdot w$ とでも思えば形式的には $w(t) = \exp(tV) w(0)$ として解けるという気持ちの表れだと思う。