らんだむな記憶

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Zornの補題

C*-代数と作用素論(1) - らんだむな記憶Zorn補題を用いたが、こいつは大分キモぃやつだ。proper な modular イデアルについての証明に用いたが、証明中で modular であることはまったく用いておらず、ただ proper なイデアルであれば「何であっても」同様の結論が得られる。素朴な集合論 - らんだむな記憶で触れた Zermelo-Fraenkel 公理系においては選択公理 (axiom of choice) と Zorn補題は同値である。ZF に選択公理 (C) を加えた ZFC の上で議論する限りでは Zorn補題は無尽蔵に利用できてしまう。しかしこいつは大分やばいとも言える。
論理学には排中律というやつがあり、任意の命題 $P$ に対して $P \lor \lnot P$ が成立することを主張するものである。 $P$ が「何であっても」である。
こいつを前提とすれば、排中律 - Wikipediaにあるように、
$$
\exists a,b \in \R \setminus \Q \,\,\,\text{s.t.}\,\,\, a^b \in \Q
$$

が成立するということが、まったくもってくだらない理由で証明できてしまう。Zorn補題にもにたようなにおいを感じる。あまり無暗に適用したくはないのだが、これなしでは話が進まない部分もあるので痛し痒しである。Zorn補題はまだ眉唾かもしれないが、排中律が禁じられると何も言えない気持ちになるくらい排中律には依存している。
どちらも信じらないくらい何も仮定せずに大きな結果が出てきてしまう、要するに超越的な神力なのである。