らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

飽きたらやめようGalois理論(1)―体と既約多項式

・$L$を体として、ある自然数$m $について$m1 = 0$とする。このような$m $のうち最小のものは素数である。

素数でないとすると、$m=ab,\ 0 < a,b < m $と分解できる。$0 = m1 = (a1)(b1)$とすると、$L$が体であることから、$a1 = 0$或は$b1 = 0$となるが、$m $の最小性に反する。なので、$m1 = 0$を満たす最小の自然数素数である。それを$p$とする。
$p\Z$は$\Z$の極大イデアルであるので、$\Z/(p)$は体となる。$\mathbb{F}_p := \Z/(p)$とおく。
準同型写像$\mathbb{F}_p \ni 1 \mapsto 1 \in L$を考えることで、$\mathbb{F}_p \subset L$と考えることができ、よって$L$は$\mathbb{F}_p$の拡大と考えることができる${}_\blacksquare$

まぁ、これは良いのだが...。

・$K$を体とする。$K[X]$を多項式環とする。$P \in K[X]$を既約な多項式とする。
この時、$K[X]/(P)$は体である...。

$0 \neq Q \in K[X]/(P)$が逆元を持つことを見れば良い。これは$Q \not\in (P)$ということである。
この時、$P$が既約であることから、$Q$と$P$は互いに素、即ち$\mathrm{gcd}(P,Q)=1$なので、
$$
\exists A,B \in K[X] \ \text{s.t.}\ AP + BQ = 1 \ \text{in}\ K[X]
$$

となる。つまり、$BQ = 1 \ \text{in}\ K[X]/(P)$ なので、$B$は$Q$の逆である${}_\blacksquare$

...というのはちょっと苦手だな。ってか、この等式はBézout's identityというのか。よく出てくる名無しの補題というイメージしかなかった...。
同時にこのBézoutの等式により、$(P)$が極大イデアルであることが従うので、ただちに$K[X]/(P)$が体であることが従うと表現するほうがsophisticatedなようだ... が、代数学は苦手なのでコツコツと逆元を求めるほうがシックリくるかもしれないな。

なお$P$が既約でない場合、つまり、$P = Q R,\ 0 < \mathrm{deg}(Q),\mathrm{deg}(R) < \mathrm{deg}(P)$の場合は、$Q$と$R$が逆元を持たない*1ことから$K[X]/(P)$は体にならない。
なので、$K[X]/(P)$が体$\iff P$は既約。

*1:もし持つとすると$0 \neq R = Q^{-1}Q R = Q^{-1}P \ \text{in}\ K[X]$を$K[X]/(P)$に射影すると$0 \neq R = 0 \ \text{in}\ K[X]/(P)$となって矛盾。