らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

Banach空間上の双線型形式

命題 $\mathcal{X}, \mathcal{Y}$ をBanach空間とし、 $f: \mathcal{X} \times \mathcal{Y} \to \mathbb{C}$ を双線型形式とする。
$f$ が $\mathcal{X}$ 成分、 $\mathcal{Y}$ 成分についてそれぞれ連続の場合、 $f$ は連続である。

証明
$x_0 \in \mathcal{X},\ y_0 \in \mathcal{Y}$ を固定する。 $\|x - x_0\|,\ \|y - y_0\| \le 1$ とする。

\begin{equation}
f(x,y) - f(x_0,y_0) = f(x-x_0,y) + f(x_0,y-y_0)
\end{equation}

において、 $y \to y_0$ の時、仮定より $f(x_0,y-y_0) \to 0$ であるので、右辺第1項が $x \to x_0,\ y \to y_0$ の時に0に近くことを見れば良い。
$\|y\| \le 1 + \|y_0\|$ であり、各 $y$ を固定するごとに $x \to x_0$ の時 $f(x-x_0,y) \to 0$ であるので、以下の補題によりこの範囲の $y$ に対して一様に $f(x-x_0,y) \to 0$ が従う ${}_\blacksquare$

補題 命題の $f$ について、 $\|y\| \le M $ とする。この時、 $x \to 0$ の時 $y$ に依存せず一様に $f(x,y) \to 0$ が従う。

証明
$T_y := f(\cdot,y)$ とし、族 $\{T_y;\ \|y\| \le M\}$ に対し一様有界性原理(「Functional Analysis」(K. Yosida) Capter II Theorem 1.1)を適用する ${}_\blacksquare$

またこの時、原点での連続性より $\left|\, f \left(\frac{x}{\|x\|}, \frac{y}{\|y\|} \right) \right| \le C$ が従うので、 $|\, f(x,y)| \le C \|x\| \|y\|$ を得る。

・・・改めて探してみると、ここまでの内容は「Functional Analysis」(M. Reed & B. Simon)の Theorem III.9 のあとの Corollary と Fréchet 空間版の主張が Theorem V.7 のあとの Corollary に載っているのであった・・・。“一様有界性原理”というキーワードに辿り着けば探していた情報はすんなり見つかるのであった・・・

他、Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations (Universitext)の Exercise 2.4 としても載っている。