らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

Laplace 方程式

$x = r \cos \theta$, $y = r \sin \theta$, $D = \{x^2 + y^2 < 1 \}$, $\Gamma = \partial D = \{ x^2 + y^2 = 1 \}$ として、次のような $\R^2$ の楕円型境界値問題を考える。

$$
\begin{align*}
\begin{cases}
\Delta u(x, y) = 0, (x, y) \in D \\
u(x, y)|_\Gamma = \cos 3\theta
\end{cases}
\tag{1}
\end{align*}
$$

この時、解は存在して一意であることがよく知られている。

理論的な解の表示については「偏微分方程式(熊ノ郷)」p.78 より、Poisson 積分

$$
\begin{align*}
u(x, y) = \frac{1}{2 \pi} \int_0^{2 \pi} f(\gamma) \frac{1 - r^2}{1 - 2r \cos (\theta - \gamma) + r^2} d\gamma
\tag{2}
\end{align*}
$$

で表すことができる。或は Fourier Series Solution of Laplace's Equation - YouTube のように Fourier 級数を用いて

$$
\begin{align*}
u(r, \theta) = \sum_{n=0}^\infty a_n r^n \cos n \theta + \sum_{n=0}^\infty b_n r^n \sin n \theta
\tag{3}
\end{align*}
$$

と書くこともできる。(2) も (3) もとてもではないが (1) を代入して計算をする気にはなれない。一体どういう解がでてくるのであろうか?

実は (1) の解は $u(x, y) = x^3 - 3x y^2$ である。大変恣意的に問題を作っており、調和函数と複素正則函数の関係を用いて、$\mathrm{Re} (z^3) = x^3 - 3x y^2$ が解となるようにしている。
$\cos^3 \theta - 3 \cos \theta \sin^2 \theta = \cos 3 \theta$ なので、$\mathrm{Re} (z^3)$ は境界条件も満たしているのである。わりと面白いことに、$u(x, y)$ を極座標表示すると $u(x, y) = u(r, \theta) = r^3 \cos 3 \theta$ で、角度成分については周期的である。

意図的に簡単な設定で問題を作ってみると、案外簡単な多項式が解になり得ることが分かる。今回は動径方向に関して振幅が大きくなる同心円上の波の形の解として求まったが、この性質から最大値・最小値原理が成立していることも感覚的に理解できて面白い。資格的には原点は小刻みな波が一気に集中する点であり、可微分なのであろうか?という気持ちになるが、多項式表示から $C^\infty$ 級であることが分かる。少し不思議な気持ちではあるが実際そうであるのだから仕方ない。