らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

Green函数(1)

https://www.iwanami.co.jp/files/tachiyomi/pdfs/0077190.pdf
最初のほうのページがプレビューできる。
微分方程式をやるにあたってはもっと物理学をやっておけば楽だったのかな?と思わざるを得ない。
どうにも数学書の中でGreen函数などを眺めると唐突な感が強く受け入れにくい。

1次元の Laplacian $L = \frac{d^2}{dx^2}$ の無限領域 $\mathbb{R}^1$ での基本解を求めると、delta函数の原始函数としての Heaviside 函数の原始函数として、例えば対称性のある形では $\frac{1}{2} |x|$ を得るが、有限領域において境界条件を与えた場合の Green 函数は色々と表示が異なる(積分方程式論 (岩波全書 117))。
ただ、これが何であり、どういった動機で出てくるものなのかが読み取りにくい。
数理物理の固有値問題―離散スペクトル (数理解析とその周辺) p.58の表現を借りるなら「リゾルベントの積分核」であり、偏微分方程式論 p.212の表現では「Green作用素の核表示」である。

素朴には微分方程式 $Lu = f$ において、 $u = L^{-1} f$ と解けると期待する時、Green作用素 (或は0がスペクトルではない場合のリゾルベント) $L^{-1}$ が積分表示できると期待したとして、その積分核 $G(x,\xi)$ として $L G(x,\xi) = \delta(x-\xi)$ となるものを見つけたいとする(要は基本解 (fundamental solution) みたいなものである)。更には境界条件がある場合に、 $G(x,\xi)$ がその境界条件を満たしているようなものであると嬉しい。
そのような $G(x,\xi)$ が見つかったとするなら、
\begin{equation}
u = \int G(x,\xi) \,f(\xi) d\xi
\end{equation}

と置くと、素朴な微分積分の交換により
\begin{equation}
Lu = L \int G(x,\xi) \,f(\xi) d\xi = \int L G(x,\xi) \,f(\xi) d\xi = \int \delta(x-\xi) \,f(\xi) d\xi = f(x)
\end{equation}

となるのではないかなと期待できることになる。(偏微分方程式論で Lax–Milgram の定理を使うような場合には境界条件は個別の函数ではなく、考えている函数空間の性質として組み込まれる。)