らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

Pauli 行列と量子ビット

Dirac 作用素

\begin{align*}
H = -i \hbar c \sum_{i=1}^3 \alpha_i \frac{\del}{\del x_i} + \beta mc^2
\end{align*}

を考える時、行列係数は標準的なものとしては、

\begin{align*}
\alpha_i =
\begin{pmatrix}
\mathbf{0} & \sigma_i \\
\sigma_i & \mathbf{0}
\end{pmatrix},\ i = 1, 2, 3
\end{align*}

\begin{align*}
\beta =
\begin{pmatrix}
\mathbf{1} & \mathbf{0} \\
\mathbf{0} & \mathbf{-1}
\end{pmatrix}
\end{align*}

であった。ここで $\sigma_i$ は Pauli 行列であり、

\begin{align*}
\sigma_1 =
\begin{pmatrix}
0 & 1 \\
1 & 0
\end{pmatrix},\quad\sigma_2 =
\begin{pmatrix}
0 & -i \\
i & 0
\end{pmatrix},\quad\sigma_3 =
\begin{pmatrix}
1 & 0 \\
0 & -1
\end{pmatrix}
\end{align*}

と書かれるのであった。パウリ行列 - Wikipedia によると、元々は W. E. Pauli によってスピン角運動量の記述のために導入されたものらしい。何故これが Dirac 行列の要素として設定されたのかはよく知らない。筑摩書房 量子力学 ─ランダウ=リフシッツ物理学小教程 / L.D.ランダウ 著, E.M.リフシッツ 著, 好村 滋洋 著, 井上 健男 著 によると、p.390 で

自由粒子の双スピノール波動関数が満足する波動方程式をつくろう.

とあるので、2 乗すると Schrödinger 作用素になればなんでも良い、というわけではなく意味のあるものだったのだろうけど。基礎があやふやななので、この本を 200 ページくらい読んでスピノールの項までくるのは大変そうではある・・・。

ところで、最近この Pauli 行列に再会した。量子情報論における、Pauli-{X,Y,Z} ゲートである。上記の順で、X-ゲート, Y-ゲート, Z-ゲートと称される。
元々の流れからすると、スピンと量子ビット(の実装)が何か関係していそうに感じる。少し検索すると、量子コンピュータは典型的には半導体素子中の電子スピンを量子ビットとして用いているらしい。スピン角運動量 - Wikipedia を踏まえると、「スピンの状態ベクトルの空間」或は「スピノール空間」$V_s$ は量子ビットのある実装が属するヒルベルト空間であり、その時は量子ビットはスピノールで実装されているということになるのではないだろうか。たぶんまだまだ勘違いがあるのだろうが、そう言ったものが裏にあるのかな?といったぼんやりしたことも念頭におきつつ眺めていきたい。