らんだむな記憶

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ある数列の収束 (2)

ある数列の収束 (1) - らんだむな記憶 で証明した補題を使って以下の定理を示したい。

Theorem

ある実数列 $\{a_n\}_{n=1}^\infty$ が与えられていて、ある実数 $\alpha$ に対して $a_n \to \alpha\ (n \to \infty)$ を満たしているとする。この数列と $0 < r < 1$ なる実数を用いて数列 $\{b_n\}_{n=1}^\infty$ が

\begin{align*}
b_{n+1} = r b_n + (1-r) a_n
\end{align*}

で定義されているとする。この時、$n \to \infty$ で $b_n \to \alpha$ が成立する。

proof

$b_{n+1} - \alpha = r (b_n - \alpha) + (1-r) (a_n - \alpha)$ であるので、$a_n - \alpha$ と $b_n - \alpha$ を改めて $a_n$, $b_n$ とおくことで、$\alpha = 0$ と仮定しても一般性を失わない。この時 $n \to \infty$ で $(1-r) a_n \to 0$ であるので補題 2 より $b_n \to 0$ を得る。${}_\blacksquare$

上記から、いわゆる移動平均 - Wikipediaの中でも「指数移動平均」(EMA) と呼ばれるものについて、片方の時系列データがある値に収束する場合に、他方の平滑化された時系列データも同じ値に収束することがわかる。