らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

論理的思考

どんなに論理的思考とやらを鍛えたって物事が効率的かつ合理的に進むとは限らない。

Aさんは製品の開発においてスピードよりも確たる品質(ベスト・オブ・ベスト)による確固たる定評を重視するとする。Bさんは製品の開発において少々の品質上の問題(レアケースでのみ生じる軽微な不具合)よりもスピード、市場への先行投入による優位性の確保を重視するとする。
物事は一般にトレードオフの関係にあることも少なくなく、品質とスピードのどちらが重要かはケースに依存するだろうし、どちらでも良い場合もあるだろう。
AさんとBさんがある製品開発において如何に論理的に議論しようと同じ結論に至るとは限らないことは想像にかたくない。1日でも早くこの魅力的な商品を市場に出そうとすれば瑣末な品質には目を瞑らねばならぬ。重箱の隅にまで気を使った品質の確保は難しくこれは指数関数的工数を伴うので *1 、これを重視すればリリースのスピードは大変遅くなる。
AさんもBさんも相手の理屈には一定の理解を示したとして「貴方の言うこともわかるが、しかし」となってしまう。前提が異なるからだ。
論理的な思考で同じ結論を出すためには共通の前提が必要だ。排中律を認める立場と認めない立場ではある定理の成立性にも差が出る。排中律を前提とすることにして論理を展開するか否かで結論が変わる。
そして何を前提とするかは個人の好みのみならず立場にも依存する。複数の立場の者が混在する場で個々人がいかに論理的に話を展開しようとも単一の結論に至るとは限らない。
これ故に論理的思考だけでは“銀の弾丸”とはなり得ない。

*1:n個のモジュール間の単純な相関関係を考えると、指数関数までとは言わぬにせよnC2=n(n-1)/2である。