らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

t分布への道 (7)

$X_1, \cdots, X_n \sim N(\mu,\sigma^2)$ i.i.d. とする。この時 $Y = \frac{(n-1)s^2}{\sigma^2}$ が $Y \sim \chi_{n-1}^2$ であることを確認することが最後の課題であった。ところで、 $Y$ は
\begin{align}
Y = \sum_{k=1}^n \frac{(X_k - \bar{X})^2}{\sigma^2} = \sum_{k=1}^n \left( \frac{X_k - \bar{X}}{\sigma} \right)^2
\end{align}

となる。ところで、$\frac{X_k - \mu}{\sigma} \sim N(0,1)$ であるので、t分布への道 (4) - らんだむな記憶より $(\frac{X_k - \mu}{\sigma})^2 \sim \chi_1^2$ となる。このこととt分布への道 (5) - らんだむな記憶で確認したカイ 2 乗分布の再生性により $\sum_{k=1}^n (\frac{X_k - \mu}{\sigma})^2 \sim \chi_n^2$ となるので $E[\bar{X}] = \mu$ であることだし $Y$ も似たような感じにならないだろうかという期待がある。(そして $\bar{X}$ が他の確率変数と関連しあうので確率変数の寄与が 1 個ぶんくらい目減りしないかなという後付けの期待がある)

実際には直交行列を用いた変換で、 $Y$ は標準正規分布に従うような $n-1$ 個の独立同分布な確率変数の 2 乗の和へと分解される。このことから、$Y \sim \chi_{n-1}^2$ が従う。$Z = \frac{\bar{X} -\mu}{\sigma/\sqrt{n}}$ と組み合わせて作る統計量 $T = \frac{\bar{X} -\mu}{s/\sqrt{n}} = \frac{Z}{\sqrt{Y/(n-1)}}$ はこのようにして $T \sim t_{n-1}$ となるようだ。