らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

数理資本主義の時代

https://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/jinzai/1-1_ikenkoukan_gaiyou.pdf
数年前の pdf なのかな?何か見つけたので読んでみた。あまり日本国内で数学の需要が高まっているような感覚はないんだけど、どうなんだろう?一言「数学」という表現がなされている単語の意味するものも大分幅があるようには感じる。

p.2 の図表も雑だ。多様体論から非線形次元削減のような矢印が伸びていて、“スイスロール” みたいなやつのことなんだろうけど、あまりにそれは乱暴だろう・・・と思う。
函数解析がモデル正則化・・・というのもどうだろう。カーネル法とかはまぁ函数解析だと思うけど、ガチな函数解析が必要か?と言われると疑問が残る。
確かに多変量解析は機械学習全般にかかるとは思うが、正直概ねガウス分布で近似してもそこそこいけるような気がするし、応用上というか計算機で計算する上でガウス分布のほうが都合が良さそうだ。と思うと、確率分布関数にめちゃくちゃ通じてることが即役に立つのかよく分からない。
代数幾何学からの特異モデル選択は知識がないので分からないが、特異点解消定理が使われる分野があると聞くし、まぁその辺なんだろう。
整数論からの暗号化も雑だ。そりゃそうだけどと言えばそりゃそうだけど。
そんな単純にここをやっとけばこれで役に立つんですなんてものでもなかろう。

いずれも基礎研究的な観点では、まぁ、素朴に言えばそこが近そうだけど実務上とか応用上だとどうなのかね。極論、“deep でポン” でもいけると思うし、論文を読まなくてもありがたいノウハウ集を押さえておけば一定の結果は出ると思う。勾配ブースティングの理論的詳細を踏まえなくても XGBoost に放り込めば一定の精度は出るし、AutoML に突っ込めば沢山比較してなんとなく良いものがモデルおよびハイパーパラメータの中から見つかるだろう。AI の民主化の範囲かは知らないけど、そういう世界を求めていたはずだ。

まぁ、なんだかよく分からないし、実感もないけど金融方面で活躍できているのならそれでも良いと思うし、今後どんどん待遇が改善されていくのならそれも良かろう。願わくは基礎研究で生きていける場が広がることを望むばかりだが・・・。