らんだむな記憶

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飽きたらやめようGalois理論(35)―被約環と局所環ふりかえり

ちょっと脇にそれて。飽きたらやめようGalois理論(33)―被約環と局所環 - らんだむな記憶の補足。

$K$: 体とし、多項式 $F \in K[X]$ を考える。 $A = K[X]/(F)$ と置く。

Lemma

$A$ は単項イデアル環である。

proof

$A$ が体の場合には自明なイデアルのみであるので、単項イデアル環である。
$A$ を体でないとする。 $I \subset A$ をproperなイデアルとする。 $I$ の0でない元の代表元のうち、monicで最低次数のものを $f_0$ とする(この $f_0$ に代表される $I$ の元は $f_0 \mod F$ となる)。
$\bar{f} = f +F(X)K[X] \in I$ について、 $\bar{f} = (q\cdot f_0 + r) + F(X)K[X],\ q,r \in K[X],\ \deg(r) < \deg(f_0)$ という変形ができる。 $f_0 \in I$ なので、 $I \ni \bar{f} - q\cdot f_0 = r + F(X)K[X]$ となるが、 $\deg(f_0)$ の最小性により、 $r = 0$ である。よって、 $I = (f_0 \mod F)$ であることが示された${}_\blacksquare$

Remark

$A$ は必ずしも整域ではない。

proof

$F=G\cdot H,\ \deg(G),\deg(H) > 0$ と分解できるとする。この時、 $(G + F(X)K[X])(H + F(X)K[X]) = 0 \in A$ である${}_\blacksquare$

次に、 $P \in K[X]\backslash (F)$ とし、 $m = (P \mod F) \subset A$ とおき、以下の図式を考える。
\begin{array}{rrl}
K[X] & \longrightarrow & A = K[X]/(F) \\
\varphi & \searrow\ \circlearrowright & \downarrow \\
& & A/m
\end{array}

$\varphi$ は全射である。次に $\ker(\varphi)$ を考える。これは $\ker(\varphi) = (P) \subset K[X]$ であることが分かる。
よって、環準同型定理により、 $K[X]/(P) \simeq A/m $ を得る。

Lemma

$A$ を単項イデアル環とし、$I = (a)$ を $A$ のイデアルとする。この時、 $I^k = (a^k)$ が成立する。

proof

$x \in I^k$ をとる。 $x = \sum_\text{finite} \overbrace{(ay_i)\cdots(az_i)}^k$ と書けるので、 $x = a^k \sum_\text{finite} \overbrace{y_i\cdots z_i}^k \in a^k A = (a^k)$ 、よって $I^k \subset (a^k)$ である。
逆に、 $x \in (a^k)$ をとる。 $x = a^k y = \overbrace{(ay)(a1)\cdots(a1)}^k \in I^k$ 、よって $(a^k) \subset I^k$ である${}_\blacksquare$