らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

量子アニーリング (1)

全然分かっていないので、仮のタイトルで始めてみる。とりあえずイジング模型というキーワードがよく出てくるので、数理物理への誘い〈4〉最新の動向をめぐって をぱらぱらとめくる。遊星社のページを引用しようと思ったが、吉田先生のツイートによると看板をおろしてしまったらしい。残念。とりあえずイジング模型は統計力学の方面で出てくるものらしい。全然馴染みがない。
岩波講座現代物理学の基礎 5/1978.4 から戸田先生の本の目次を確認すると「相転移の模型」ということろにイジング模型が出てきている。くりこみ群とかブラウン運動とかマスター方程式とかどっかで聞いたようなキーワードが並んでいる。こっちの方面の用語だったか。先の本で吉田先生が「相転移と緩和現象」というタイトルでイジング模型やブラウン運動の話を書いていてどう関係するのかと思っていたが熱・統計力学的な感じなのか・・・。なんか量子アニーリングマシンに毒されすぎて背景を知らなさすぎる・・・。量子ゲートの話で量子力学の話を見すぎたせいで Hamiltonian と聞くと微分演算子のことを考えてしまうが、

$$
\begin{align*}
H^{\Lambda,\eta}(\sigma) = \frac{1}{2} \! \sum_{\substack{\{x,y\} \subset \Lambda \\ \|x-y\|_1 = 1}} \beta (\sigma_x - \sigma_y)^2 + \frac{1}{2} \! \sum_{\substack{x \in \Lambda,y \not\in \Lambda \\ \|x-y\|_1 = 1}} \beta (\sigma_y - \eta_y)^2 + \sum_{x \in \Lambda} h \sigma_x
\tag{1}
\end{align*}
$$

という式が書いてあって、これが Hamiltonian であると書いてあるので、どうやら統計力学の方面でのエネルギー関数だったようだ。

次に 量子アニーリングの基礎 / 須藤 彰三 岡 真 監修 西森 秀稔 大関 真之 著 | 共立出版 を確認する。量子アニーリングとタイトルに入っている日本語の本はいまのところこれくらいではないだろうか?とりあえずパラ見が多すぎるのでもう少しゆっくり斜め読みすると

  • イジング模型は磁性体の模型
  • 膨大な研究成果の蓄積があるのは量子ゲート方式
  • 量子アニーリングは量子ゲート方式とは当面の目的や実現手法が異なっている
  • 組み合わせ最適化問題やサンプリングが当面の目的

といったことが書かれており、こちらでも Hamiltonian は

$$
\begin{align*}
H(\sigma) = - \sum_{i < j} J_{ij} \sigma_i \sigma_j - \sum_{i=1}^N
h_i \sigma_i
\tag{2}
\end{align*}
$$

といったものが書かれている。符号は違うが (1) 式を展開すると $\sigma_i$ の 2 次の項と 1 次の項に分かれるので、(2) 式のような形になる。とにかくこの Hamiltonian で与えられるイジング模型の基底状態を求める問題が組み合わせ最適化問題に対応するということである。

これを計算するにあたってはイジングスピン $\sigma_i \in \{-1, 1\}$ について量子力学的に不確定な状態にするとのことである。ゲート方式的な類推では、$H \ket{0} = \frac{1}{\sqrt{2}}(\ket{0} + \ket{1})$ を作るような話に聞こえる。アダマールゲートが物理的に実装できるならそういう状態も人工的に作れるのだろう・・・たぶん。系を制御して、イジングスピンが基底状態のものに向かうよう仕向けるようなくだりがあるが、物理実験の経験が少ないのでピンとは来ない。参考文献に有名な田崎先生の統計力学の本が挙げられているのでこの辺りを読むと何かピンとくるだろうか?

とりあえずこんなものにしておこう。ANCAR | アニーリングマシン体験学習型アプリ という Web アプリもあるのでドキュメントを眺めてみたい。

あと blueqat の湊さんの記事 量子アニーリング界隈の炎上?について by Yuichiro Minato | blueqat があるので門外漢として眺めておく。ちゃんとした量子アニーリングマシンについて見解が書いてあって・・・
実行環境 - Amplify - 量子アニーリングと共に進化するクラウド

Fixstars Amplify Annealing Engine(AE)は、GPUベースのアニーリングマシンです。

とか、
量子アニーリングでシフト表作成 « LANCARD.LAB|ランカードコムのスタッフブログ

フィックスターズの量子アニーリングクラウド「Fixstars Amplify」を使います。
Pythonでamplifyモジュールをインストールするだけで簡単に利用できます。

今回使うイジングマシンのエンジンは、Fixstars Amplify Annealing Engine です。これはGPUベースのアニーリングマシン(いわゆる古典コンピュータ)です。

を見ると確かに「ん?」と思う表現になっているのだが、いまは気にしないでおく。D-Wave を使っておくとミーハー的にも楽しいだろうか?
あまり本が出てこないのも色々事情があるのかもしれないな。量子コンピュータエンジニア始めて5年が経った - Qiita を魚拓で読んでみたけどなかなか面白い。ベンチャーの紆余曲折は凄いな。blueqat も元々はデザインの会社だったとは驚きだ・・・。
「海外は量子アニーリングに見切り」──ハードもソフトも開発する量子ベンチャー「MDR」に聞いた「量子コンピュータの今」(3/5 ページ) - ITmedia NEWS

「実際使ってみると、最初の1カ月で諦めてしまう人が多い。論文では『できる』と書かれていても、実務的にはおぼつかなかった」

はちょっと気になるんだよなぁ・・・。ディープラーニングも論文の内容を実装してみたり公開コードを自前のデータセット上で動かしてもなかなか思うような結果が出ないんだよなぁ・・・。(出るケースもあるけど、そこそこデータセットの内容を工夫する必要がある・・・とか分散学習でめちゃめちゃ気長に回す必要があるとかいう気もする・・・)

CMOSアニーリングマシンは、量子コンピュータの動作を疑似的に再現する技術で、 日立製作所が2015年に開発した新型コンピュータです。

実際に量子力学の原理を応用する実機の量子コンピュータではなく、 あくまで現行のコンピュータ(古典コンピュータとも言います)上で計算を行います。

富士通デジタルアニーラは、富士通が開発している組合せ最適化問題特化型マシンです。
こちらも日立CMOSアニーリングと同様に量子コンピュータの実機ではなく、古典コンピュータを用いて、 量子コンピュータの原理を仮想的にシミュレートし計算を行う種類のマシンです。

NTTが開発している光方式の量子コンピュータでは、スクィーズド光源と呼ばれる特殊な光源から得られる テラヘルツオーダーのい帯域と高い圧縮率を持った連続的なスクィーズド光を利用することで、 量子ビット量子もつれを表現し、量子コンピュータを実現させる研究・開発を行っています。

へー・・・色々あるんだな。