らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

Qiskit (52) —パラメータ付き量子回路

アルゴリズムの概観を完了し、パラメータ付き量子回路に突入。
ここまでは $\ket{\Psi} = H^{\otimes n} \ket{0}^{\otimes n}$ などのように特定の量子状態に変化させていたが、これが何かしらのパラメータ $\theta$ に合わせて回路が変わり $\ket{0}^{\otimes n} \rightsquigarrow \ket{\Psi(\theta)}$ となるとのこと。“パラメータ付きの量子回路” を ansatz と呼ぶらしい・・・。
ansatz という用語は量子化学のコンテキストで聞くような気がするので、少し調べてみよう。textbook だと Simulating Molecules using VQE の中に a wave function として書かれている。量子コンピューティング 基本アルゴリズムから量子機械学習まで | Ohmsha では、

固体物理学や化学における先見的な知識や直感をもとにパラメータ $\theta$ をもつ試行状態

と書かれている。量子コンピュータによる量子化学計算入門 | 書籍情報 | 株式会社 講談社サイエンティフィク では、

物理学および数学における仮説のことであり、初期化された単純な量子状態に作用させて近似波動関数を得るためにはどのような量子サーキットを実行すれば良いかを定義したもの

とある。どこに視点を置いているかの違いかもしれないが、$\theta$ を持った仮説に基づくいい感じの初期状態か、いい感じの回路かそういったもののことなのだろう・・・。

ここから話が急に量子化学寄りになる。適当に textbook から話を拝借することにして、Hamiltonian $\hat{H}$が与えられた時、ansatz $\ket{\psi}$ に “パラメータ付きの量子回路” $U(\theta)$ が作用して得られる $\ket{\psi(\theta)} = U(\theta) \ket{\psi}$ を使って、Hamiltonian のエネルギーの期待値 $\bra{\psi(\theta)}\hat{H}\ket{\psi(\theta)} \in \R$ を記述し、変分法でエネルギーの期待値の最小値を求める、つまり基底状態を求めるということをしたいという内容が書かれている。

この辺は、ディープラーニングで “先見的な知識や直感をもとに” Xavier だとか He の初期化でいい感じ初期化されたニューラルネットワークを用いて、損失関数だとか、Kullback-Leibler 擬距離での分布間距離だとかが小さくなるようにパラメータについて最適化を行うという話とよく似ていると思う。とにかくいい感じのパラメータから開始して何かのターゲットの最小値を求めたいということだ。

Hamiltonian を Pauli 行列で表現する内容はよく分からない。例えば $\hat{H} = - \frac{\hbar^2}{2m} \Delta$ とかはそのままではダメだと思うが、ユニタリ変換でうまい表現空間にうつせばそうなるのかもしれない。或いは、有限次元のエルミート行列なら成立するのかもしれない。よく分からないので、一旦、有限次元のエルミート行列のことと思っておく。

・・・という感じで p.194 まで読んだ。