らんだむな記憶

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Galois理論(67)―ガロア拡大における線型無関連性(3)

以下の命題は「体とガロア理論」§3.3 定理3.16が相当する。

Prop

(1)$K \subset L_1, L_2 \subset \bar{K}$ とする。 $L_1/K$ および $L_2/K$ がともにガロア拡大であり、 $K$ 上線型無関連とする。この時、以下は同型写像となる:
\begin{array}{cccc}
\varphi: &\mathrm{Gal}(L_1 L_2/K) & \overset{\sim}{\to} & \mathrm{Gal}(L_1/K) \times \mathrm{Gal}(L_2/K) \\
&g & \mapsto & (g|_{L_1}, g|_{L_2})
\end{array}

(2)逆に、 $L/K$: 有限次*1ガロア拡大に対して、 $\mathrm{Gal}(L/K) = G = G_1 \times G_2$ の時、 $L = L^{G_1} L^{G_2}$ となる。また $L^{G_1}$ と $L^{G_2}$ は $L^{G_1} \cap L^{G_2}$ 上線型無関連である。

proof

(1)Galois理論(62)―合成拡大 - らんだむな記憶のPropより $L_1/K$ と $L_2/K$ の性質が $L_1 L_2/K$ に反映されるので、 $L_1 L_2/K$ はガロア拡大である。
$g|_{L_1} = h|_{L_1}$, $g|_{L_2} = h|_{L_2}$ とすると、 $g(\ell_1 \ell_2) = g(\ell_1)g(\ell_2) = g|_{L_1}(\ell_1) g|_{L_2}(\ell_2) = h(\ell_2 \ell_2)$ となるので、$g = h$ となる。よって、 $\varphi$ は単射である。
次に全射性を見る。線型無関連性により $j$ は単射となるので、 $j \circ (g_1 \otimes g_2) \circ j^{-1} \in \mathrm{Aut}(L_1 L_2/K)$ を考えることができる。 $j \circ (g_1 \otimes g_2) \circ j^{-1}(\ell_1) = j(g_1(\ell_1) \otimes g_2(1)) = g(\ell_1)$ であるので、 $\varphi(j \circ (g_1 \otimes g_2) \circ j^{-1}) = (g_1, g_2)$ である。よって全射性が示された。

(2)$G_1 \ni g \mapsto (g, e) \in G_1 \times G_2$ により、 $G_1 \subset G_1 \times G_2$ と見る。この同一視の際に目印として $g$ を $\bar{g}$ と書くことにする。
$g \in G_1$ をとり、 $(g_1, g_2) \in G_1 \times G_2$ をとる。 $(g_1, g_2)\cdot\bar{g}\cdot(g_1, g_2)^{-1} = (g_1, g_2)\cdot(g, e)\cdot(g_1^{-1}, g_2^{-1}) = \overline{g_1 g g_1^{-1}} \in G_1$ である。よって、 $(g_1, g_2) G_1 (g_1, g_2)^{-1} \subset G_1$ より、 $G_1 \triangleleft G_1 \times G_2$ である。まったく同様にして $G_2 \triangleleft G_1 \times G_2$ を得る。
Galois理論(42)―ガロア群とArtinの定理 - らんだむな記憶補題により $L^{G_1},\ L^{G_2} (\subset L)$ は体である。Galois理論(47)―ガロア対応 - らんだむな記憶により、 $L/L^{G_1}$ は(有限次)ガロア拡大であり $G_1 = \mathrm{Gal}(L/L^{G_1})$ である。ここで $\mathrm{Gal}(L/L^{G_1}) = G_1 \triangleleft G_1 \times G_2$ であることから、 $L^{G_1}/K$ はガロア拡大となる。まったく同様にして $L^{G_2}/K$: ガロア拡大を得る。
$x \in L^{G_1} \cap L^{G_2} \subset L$ をとると $(g_1,g_2)\cdot x = (g_1,e)(e,g_2)\cdot x = (g_1,e)\cdot x = x$ であるので、 $L^{G_1} \cap L^{G_2}$ は $G$ によって固定される。従って、 $L^{G_1} \cap L^{G_2} = L^{\mathrm{Gal}(L/K)} = K$ である。Galois理論(66)―ガロア拡大における線型無関連性(2) - らんだむな記憶により、 $L^{G_1}$ と $L^{G_2}$ は $L^{G_1} \cap L^{G_2} = K$ 上線型無関連である。
また、 $L^{G_1} L^{G_2} \subset L$ であるがこれが一致することを見る。 $\# G_1 = m $, $\# G_2 = n$ と置く。 $[L:K] = \# G = \# (G_1 \times G_2) = mn$ である。
$mn = [L:K] = [L:L^{G_1}][L^{G_1}:K] = \#\mathrm{Gal}(L/L^{G_1}) [L^{G_1}:K] = \# G_1 [L^{G_1}:K]$ より、 $[L^{G_1}:K] = n$ である。同様に $[L^{G_2}:K] = m $ である。
ところで Galois理論(63)―線型無関連な拡大 - らんだむな記憶より、
\begin{align}
mn = [L:K] = [L:L^{G_1} L^{G_2}][L^{G_1} L^{G_2}:K] &= [L:L^{G_1} L^{G_2}][L^{G_1}:K][L^{G_2}:K] \\
&= nm [L:L^{G_1} L^{G_2}]
\end{align}

が従う。よって、 $[L:L^{G_1} L^{G_2}] = 1$ であるので $L = L^{G_1} L^{G_2}$ となる${}_\blacksquare$

途中から有限次拡大であることをフルに活用して拡大次数の計算などをしたが、有限次拡大であるという条件は外せるだろうか?

*1:この条件が必要そう?除去できるか?