らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

素朴な集合論

頭の痛くなるアレ。
非常に素朴に考える。「集合すべての集合」というものを考えて $X$ という名前をつける。すると、$X$ 自身もまた集合であって、$X$ はすべての集合を含むのであるから、$X \in X$ が成立する。こういう集合の集合的なものを第2種だとか第2類とか呼んだ気がするが忘れた。

一般に、集合 $S$ に対してその部分集合の全体、或は冪集合を $2^S$ とすると、個数について $\#(S) < 2^ {\#(S)}$ が成立する(Cantor's theorem)。
一方、先ほどの集合の王様 $X$ さんであるが、$2^X$ というものも集合であるので $X$ に含まれる。つまり、$2^X \in X$。よって、$\#(2^X) = 2^{\#(X)} < \#(X)$ となる。本当は "濃度" (cardinality) で考えるべきところだが、厳密に見なくてもカントールの定理の主張と交互に見比べると妙なキモチにはなれるだろう (Cantor's paradox)。
$X$ さんについては考えたくないので、もう次に一瞬だけ思い出して忘れてしまおう。

次に有名なRussell's paradoxきたーーーー( ゜∀ ゜)!!! をするわけだが、
\begin{equation}
Y := \{x:\text{set};\ x \in x\}
\end{equation}

を考える。すでに見た集合の集合 $X$ は $X \in X$ なので、定義より、$X \in Y$ なので、$Y \neq \varnothing$ である。まぁ、あくまで、$X$ は集合である、と信じる場合にだが。
次に、似たようなもので、
\begin{equation}
R := \{x:\text{set};\ x \not\in x\}
\end{equation}

を考える。とりあえず、$Y$ が何か存在するっぽいし、$R$ も存在するのではないかと仮定する。
さて、$y \in R$ をとると、その設定より、$y \not\in y$ である。$R \in R$ であると仮定すると、先の考察より $R \in R$ かつ $R \not\in R$ となり矛盾する。 では、$R \not\in R$ であると仮定すると、$R$ の定義より二重否定によって $R \in R$ となりやはり矛盾する。
つまり、$R$ が存在してくれると大変なことになってしまう。

というころで、$R$ さんは仲間外れにしようぜ、あいつなんか集合じゃねーよ、あいつなんかいねーよ、となるように「集合」の縄張りを囲い込んでやばい奴をのけ者にしようと企てるのが公理論的集合論、だろう。

おめでたう。Zermelo-Fraenkel Axioms (ZF) では $R$ は仲間外れになって構成できないよ、ということらしい。
残念。普段 ZF の上で議論している意識は全然ないのだが...。

―――――・・・

しかし、論理学でも矛盾する仮定からは任意の結論が導けるように、どんな素晴らしそうな公理系であっても、それが矛盾していると素晴らしい結論が導けて当然だとなりかねない。ということで公理系の無矛盾性は重要だ。
さらに公理系には「完全」であって欲しいという気持ちがある、らしいのだが、公理系が完全かつ無矛盾である状態というのは、Kurt Gödelの第1不完全性定理「公理系が無矛盾ならば不完全である」によって棄却されてしまう、らしい。
勿論、公理系の「完全性」が何を指しているか知らないし、ゲーデル不完全性定理については何も理解していない。理解する気もない。

無矛盾な公理系であることが証明されているものからして非常に少ないはずだ。どうせ矛盾するかしないかが自分の生きているうちに証明されるとも思ってないし、まして自分が証明できるとも思っていない。ただ、まぁ、大丈夫じゃね?と考えて、公理はアンタッチャブルな土台としてそっとしておいて議論するほうが面白いことが言えるし、まぁ、いいんじゃないかなと逃げの一手を打つのみである。

そもそもこの文章をさらっと書いて知識を整理しておくかと思ったところ、何もまともに書けなくて wikipedia とかで補完しまくるザマになってしまったのが残念だ。残念なほど意識していない。