らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

圏論(11)と続 isomorphism

[Steve Awodey本]
1.5 Isomorphism 続き

それ(category 論的な概念のみを用いたisomorphismの定義)はどんなcategoryであれそこで考えられる他のisomorphismの定義よりも優れた点がある。例えば、集合のisomorphismを全単射写像、モノイドその他のisomorphismを全単射準同型写像、つまり "1対1上への" 写像であるようなもので定義することが考えられる ―― これは objects の元を使用した定義になる。これは集合やモノイドような幾つかのケースでは我々の定義と同等である。しかし例えば ${\bf Pos}$ においては同型ではない posets の間の "bijective homomorphism" が存在したりする状況ではあるが、category論的な定義は正しい概念を与えることに注意しよう。更にその上、多くの場合抽象的な定義のみが意味を持つ。例えば、モノイドをcategoryと見做した場合である。

とある。posets の場合、bijective な写像なら分かるが、"bijective homomorphism" が何かよく分からない。とりあえず bijective な写像のことと思っておく。
例えば、$A = (\mathbb{Z},\, \le)$ は通常の不等号で poset になる。
一方、$\mathbb{Z}[\sqrt{-1}] := \{ z \in \mathbb{C};\ \mathrm{Re}(z), \mathrm{Im}(z) \in \mathbb{Z} \}$ に対し、$B = (\mathbb{Z}[\sqrt{-1}], \le_\mathbb{C})$ というものを考え、
$z \le_\mathbb{C} w \iff \mathrm{Re}(z) \le \mathrm{Re}(w) \quad\text{and}\quad \mathrm{Im}(z) \le \mathrm{Im}(w)$ とするとこれも poset になる。
残念ながら $A, B$ はcategory論的な意味で同型ではない。$1_A, 1_B$ ともにそれぞれの恒等写像であることに注意しよう。$f: A \to B$ を考えると単調性より、複素平面の中で左下から右上のほうに向かう形で $\mathbb{Z}$ の点が分布していく。とすれば、$g: B \to A$ に対して、$f \circ g$ は複素平面の遥か左上の点や遥か右下の点を元の位置には戻せないので、$1_B$ には一致しない。このため、category論的な意味で同型ではない。
しかしながら、$A, B$ ともに可算濃度であるので、適当な対応付けにより全単射写像は構成できる。
こういうことを言っているのだろう。多分。

モノイド $ M $ をcategoryとして見た場合については、全単射準同型写像でisomorphismを定めると、同型性が自明になってしまって何も面白くないので「抽象的な定義のみ意味がある」と書いてあるのかもしれない。