らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

圏論(7)

特に写像というわけでもない arrow を考えてみたので、少し論理学的なことを考えてみたい。
objects として「命題」をとる。命題とはそもそも何か?という類のことは無視する。

  • objects: $P, Q, R, \cdots$ を命題とする。
  • arrow として以下のようなものを考える:

\begin{equation}
P \to Q \iff P \ \text{ならば}\ Q
\end{equation}
記号論理学における真理函数としての「ならば」はかなり難しいので、あまり気にしないでおく。*1

圏論(1) - らんだむな記憶で書き下した定義を思い出す。domain, codomain は特に触れる必要もないだろう。問題はcompositionか。これは「かつ」或は「論理積」として解釈したい。つまり、$f: P \to Q$ と $g: Q \to R$ が与えられた時、「P ならば Q」と「Q ならば R」であるので、「P ならば R」という仮言三段論法が妥当であると思われる。この仮言三段論法から出てくる「P ならば R」を表す arrow $h: P \to R$ を「$h = g \circ f$」として composition を考えたい。
identity arrow は「P ならば P」というトートロジーで、先の仮言三段論法と組み合わせると、「単位則」が成立するのは自明であろう。
結合則を見たい。「$f: P \to Q$」と「$g: Q \to R$」と「$h: R \to S$」の3つの論理式を考える。「$h \circ (g \circ f)$」は「P ならば Q」かつ「Q ならば R」から得られる composition 「P ならば R」と、$h$ の表す「R ならば S」との composition で得られる「P ならば S」である。言葉で書くと「P ならば Q かつ Q ならば R の時、更に R ならば S であれば、P ならば S を導き出せる」と言えるだろうか。
「($h \circ g) \circ f$」はどうだろう。「Q ならば R」かつ「R ならば S」から得られる composition 「Q ならば S」と、$f$ の表す「P ならば Q」との composition で得られる「P ならば S」である。言葉で書くと「Q ならば R かつ R ならば S の時、更に P ならば Q であれば、P ならば S を導き出せる」と言えるだろうか。
この2つが同じか?書くだけ書いてしまったという気持ちでいっぱいだが、まぁ、同じなんじゃないですかねーと思うことにしたい。
実際には「$( (P \to Q) \land (Q \to R) ) \land (R \to S) \to (P \to S)$」と「$(P \to Q) \land ( (Q \to R) \land (R \to S) ) \to (P \to S)$」の真理値が$P, Q, R, S$ の任意の真理値に対して一致することを見るだとか、"論証が妥当である" ことを示すとかして、その結果でもって arrow の結合則が成立しているとしないとならないように思うが、記号論理学的な「$\to$」をできれば今は避けたい気持ちがあって、ふわっと一致していることにしたい。

ともかく、ちょっとぼやかしたが、適当な意味づけのもとでは、

  • objects: 命題
  • arrow: 命題と命題の間の「ならば」

をデータとして、論理学的な category が考えられそうだ、ということが見えたような気がしないでもない。

*1:「$P \to Q$」の時、$P$ が偽であれば、$Q$ の真偽に関わらず「$P \to Q$」の真理値は真である、というのはどうにもアレな気がするので、置いておく。