らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

Local Smoothing Propertiesな論文を読む前に

局所正則性(2) - らんだむな記憶で触れたConstantin-Saut氏の論文を読む際に、Schrödinger方程式を扱う上では以下の論文を参照することになるのでリンクを張っておく。
Yajima : Existence of solutions for Schrödinger evolution equations

そろそろローカルのpdfをなんか整理しないとわけがわからん...。

Constantin-Saut氏の論文では
\begin{equation}
\frac{\partial u}{\partial t} + i P(D)u = F(t,x),\ t \in \mathbb{R},\ x \in \mathbb{R}^d \hspace{5em} (1)
\end{equation}

という形の方程式が扱われている。これをSchrödinger方程式に適用するには、
\begin{equation}
F(t,x) = i V(t,x) u(t,x) \hspace{5em} (2)
\end{equation}

の場合を考えることになる。(1)を構成する係数が宜しい条件の時に、初期値$u(0,x)$よりも時間発展した解がSobolevの意味でなんぼか滑らかになっているというのが同論文の主張なのだが、この時に参照している谷島先生の論文で主張されているSchrödinger方程式の解$u(t,x)$の満たす性質を考慮すると、大分色んなポテンシャル$V(t,x)$に対して(2)式で定まる$F(t,x)$が主定理の仮定を満たす、という内容になっている。なので、(1)はSchrödinger方程式を含むということだ。

―――――・・・

$H$を自己共役作用素とする場合、

\begin{equation}
\begin{cases}
i \frac{\partial}{\partial t} u(t) = H u(t), \\
u(0) = u_0 \in \mathcal{D}(H)
\end{cases}
\end{equation}

は、$\exp(-i t H):\ \mathcal{D}(H) \to \mathcal{D}(H)$であって、$u(t) = \exp(-i t H) u_0$が解になる。
典型的なパターンでは、$H = - \Delta + V(x)$であって、$H$は適当な条件下で自己共役作用素として実現され、$\mathcal{D}(H) \subset \mathcal{D}(- \Delta) = H^2(\mathbb{R}^d)$となる。
要するに、初期値が適度に滑らかなら、解も同じ程度に滑らかとなる。
一方、一般の$u_0 \in L^2(\mathbb{R}^d)$の場合、$\exp(-i t H) u_0$は定義できても強微分できるか分からないし、解になるかも分からない。上記のケースほど理想的でないにせよ、$u_0 \in L^2(\mathbb{R}^d)$なる初期値に対して解を持つなら、$\mathcal{D}(H)$に含まれない初期値であったとしても、その解は$u(t) \in H_\mathrm{loc}^{1/2}(\mathbb{R}^d) \ a.e.t \in \mathbb{R}$というように滑らかさが出てくるというのが論文の主張であって興味深い。