らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

Bayesの定理

とかいう定理がある。$H_1,\cdots,H_N$をなんらかの同時には発生しないが、いずれか1つは必ず発生するような事象(原因)として、また別の事象$E$があるとする。$P(E|H_j)$で事象$H_j$が起こった場合であって、かつ事象$E$が起こった場合の条件付き確率とする。定義としては、$P(E|H_j) = \frac{P(E \cap H_j)}{P(H_j)}$というものである。

Bayesの定理

上記のような事象に対して、
\begin{equation}
P(H_j|E) = \frac{P(H_j)P(E|H_j)}{\sum_{k=1}^N P(H_k)P(E|H_k)}
\end{equation}
が成立する${}_\square$

証明は至って簡単で、$P(H_j|E) = \frac{P(E \cap H_j)}{P(E)} = \frac{P(H_j)P(E \cap H_j)}{P(H_j)P(E)} = \frac{P(H_j)P(E|H_j)}{P(E)}$だ。分母の展開は飾りみたいなものでさえある。
証明を更にかいつまむと単に$\frac{b}{a} = \frac{bc}{ac} = \frac{b}{c}\cdot\frac{c}{a}$しているだけで技術的には大したことはない。
単なる数式と見るならそれほどの意味はない、と思う。
一方、この式は統計学としては随分な意味のある式だろう。確率論がその目的のために解析学を道具として使うのと同様に、統計学はその目的のために数学を用いていると思う。よって、確率論が別に解析学したいわけでないのと同様に、統計学も別に数学したいわけではないだろう。その目的のために都合がいいから使っているだけ、だと思う。
なので、Bayesの定理は数学の定理としてはしょーもなくていいと思う。統計学の定理として意味があればいい。

変な例えだが、A君、B君、Cさんの3人のクラスがあるとして、交代で教室の花の水やりをするとする。一応誰もさぼらないものとする。A君は大変な悪戯もので、自分が担当の日によく花瓶を割ってしまう。2回に1回は割ってしまう勢いだ。B君は優等生だが少々おっちょこちょいなので、たまに花瓶を割ってしまう。10回に1回くらいだろうか。Cさんは非常に几帳面で落ち着いているので、彼女が割るとしたら天変地異ものだ。100回に1回割ることがあるかどうか...。
ある日先生が教室に来てみると花瓶が割れていた!自分が先生ならどう思うだろう?「またAか!アイツいい加減にしろよ!」いわゆる日頃の行いというやつだろう。
$H_1$=A君が当番,$H_2$=B君が当番,$H_3$=Cさんが当番とすると、持ち回りなので、まぁ、いずれの確率も$1/3$で良いだろう。花瓶が割れているという事象を$E$とすると、$P(E)=(1/2)(1/3) + (1/10)(1/3) + (1/100)(1/3) = (61/100)(1/3)$で良いのではないだろうか。
するとBayesの定理により、$P(A$君が当番$|$花瓶が割れていた$) = \frac{(1/3)(1/2)}{(61/100)(1/3)} = 50/61$で82%の確率でA君が当番の日なのだろう、と推測される。だとすれば先生が日頃の行いから「またAか!」と思うのも頷けると思う。

と、こんなことが導けるのはとんでもないことではないだろうか!?日頃の行い(統計情報; 事前確率)から主観による犯人捜し(推論; 事後確率)ができてしまうというのだ。
数式としての意味は大したことがないのに(特に形式的な数学として扱うと悲惨だろう)、実益が半端ない。

こう考えた時、統計学もまた自分の中で数学から巣立って羽ばたいた。

もともとは数学も$2 \times 3 + 1 = 7$みたいなものが式として成立しなかったような時代もあったようだし、随分と便利になったというか雑になったというか。長さ×長さは面積だから、面積に長さを加えるのはナンセンスだと言うのだ。まぁ、難しいよな。

言いだしたらキリがないかもしれないが、{A君が当番である}とか{花瓶が割れた}とか{A君が当番でかつ花瓶が割れた}とかいう事柄を "事象" として扱えるところの純粋に数学的な確率空間の具体的な表現と事象(加法族)全体の表現は何なの?と言われると、どうにもあわわゎゎゎ... というところもある。あまり意味を考えすぎると、段々分からなくなってくるのだ。(まぁ、その事象には{A君とB君とCさんが当番であってかつ花瓶が割れていなかった}とか{誰も当番ではないが花瓶が割れていた}とか色々もやもやするものが入ってくることになるだろう)

とりあえずは深いことは考えずになんとなくそれっぽい部分で分かった気分になって先に進むのも良いのかもしれないな。

そもそも、この投稿もまたBeyesの定理についてさほど語りたいわけではなく、目的はそれをネタにカテゴリを一応追加しておくことにあるのだ。そのネタとしてBeyesの定理は都合が良かったので持ち出したのだ。