らんだむな記憶

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再帰的な方程式

functional equations - Finding a function $h$ that satisfies $h \left ( \frac{x}{x^2+h(x)} \right )=1$ - Mathematics Stack Exchange より。

$$
\begin{align*}
h \left( \frac{x}{x^2 + h(x)} \right) = 1
\tag{1}
\end{align*}
$$

  • $h(x) \neq \text{constant}$
  • $\exists \frac{dh}{dx}$
  • $\exists h^{-1}(x)$
  • $\exists \frac{dh^{-1}}{dx}$

を満たす関数 $h$ を求めよということらしい。議論にあるように、問題文を明確化するべき部分があり、$h: \R \to \R$ では解けそうにない。また、微分の値について存在性しか仮定されておらず、逆関数定理も安易には使えない。よって、素朴に何らかの定義域の上で上記を満たすような関数を定義域とセットで求めるくらいしか思いつかない。

ということで、定義域 $I \subset \R$ 上の実数値関数として取り組んでみよう。
すでに議論にあるように、$h(c) = 1$ なる $c \in I$ をとると

$$
\begin{align*}
h(x) = \frac{x}{c} -x^2
\end{align*}
\tag{2}
$$

が解の形の候補である。仮に $0 \neq c \in I$ としよう。この時、(2) 式で $x=c$ を代入すると $\frac{c}{c} - c^2 = 1$ より $c = 0$ を得るので矛盾である。よって $c = 0$ である。同時に $0 \in I$ となる。
(1) 式に戻る。$x \neq 0$ なる $x$ を考える時、$h(x) \neq x^2$ であるとすると、両辺に $h$ を作用させて $x = 0$ を得るが、これは矛盾である。故に、$h(x) = -x^2\ (x \neq 0)$ である。他の条件より、関数の連続性を期待していそうなので、$h(0) = 0$ と連続拡張して考えても良さそうである。ところが、$h(0) = h(c) = 1$ なので、これは矛盾である。よって「$0 \in I$ であり、可微分な $h$」は定義できない。・・・のだが、そこで終わるもの面白くないので続けてみよう。

仮定にある逆関数の存在性、可微分性および $0 \in I$ より

$$
\begin{align*}
h(0) &= 1, \\
h(x) &= -x^2,\quad x \in (0, \infty)
\end{align*}
$$

或は

$$
\begin{align*}
h(0) &= 1, \\
h(x) &= -x^2,\quad x \in (-\infty, 0)
\end{align*}
$$

など*1が解となる・・・解と呼んで良いかは分からないが、敢えて考えられる解に近しいものということなりそうである。大元の大前提の条件式を不定にするものが解であるというのもむずむずするが、なかなか思考のトレーニングになった。なお、(1) 式の右辺が $1$ でない場合には普通に放物線や複素関数が解になってきそうなので、それはそれで面白い。たぶんこの $1$ という状況が一番もやもやする状況を生み出して「解とは何だろうか」というテーマを提示してくるように思われる。

今回は、条件的には以下を満たしていると思う。

  • $h(x) \neq \text{constant}$
  • $\exists \frac{dh}{dx}, \quad \text{a.e.}\ x$
  • $\exists h^{-1}(x)$
  • $\exists \frac{dh^{-1}}{dx}, \quad \text{a.e.}\ x$

*1:無限大まで考えずに適当な有界区間で打ち切っても良い。