らんだむな記憶

blogというものを体験してみようか!的なー

モーリス・ユトリロ

ぞくっとするデッサン力だなと思った。
ゆるやかに歩きながら見ていると風景の中に入り込みそうなくらいに見やすい。大きさも実際に目で見た時の視界の大きさのようで、小さすぎもせずに大きすぎもしない。
図録で見ていた時は静かで寂しいパリの風景を描く画家と思っていたが、案外豊かな表情が感じられるようで正直寂しい印象は受けなかった。
時間の描写もうまくてなんとも言えないリアリティーがある。ここぞというところでの絵の具の盛り付け感が絶妙で遠近感がそれだけでも出ている。ふっと臨場感を感じるのが良い。
…などと言った言葉による感想には特に意味はないが。特に何と言うわけでもない何気ない風景がまさに何気なく描かれているのが面白いといったところか。個人的にはそれを見ることで「感動した」とか「美しい」とか「涙が止まらない」といったことがなく、何気なく気軽のその空間の中に溶け込めることが良かった。

今回の回顧録にて1枚選ぶなら直感的には「モンマルトルのサン=ピエール広場から眺めたパリ」だった。何がこうという理由の説明もできないが、これだなぁと言う気持ちになった。