らんだむな記憶

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円周率×無理数×超越数

円周率のネタに「××桁目で割り切れることが示された!」とかいうのをよく見る。この表現からしてなんじゃこりゃというものだが、キモチをくむと「小数点下××桁目で終わる有限小数であることが示された」と言いたいのだろう。
残念ながら、現代数学を信じるのであればこれは虚偽の主張ということになる。

Amazon.co.jp: 数論入門 I (シュプリンガー数学クラシックス 第): G.H.ハーディ, E.M.ライト, 示野 信一: 本に円周率が無理数であり、分数表示できないことの証明がある。Taylor展開を使ったりとどうも純粋には数論臭さを感じない手法だったり、背理法による消極的な証明なのでいまいちスッキリはしないがその辺は諦めている。最終的には0より大きくて1より小さい整数が存在するという議論に持ち込んで矛盾を導いていたはずだ。
一方、整数係数の$n$次方程式の根として表現できないような数を超越数と言うが、円周率はまた超越数でもあるということで、その証明も同書に載っている。証明は少々ややこしくなるものの本質的な手法は無理数であることの証明と同様に展開することができ、なんとも驚きである。
しかも、同様にして自然対数の底(ネイピア数)$e = 2.71818 \cdots$に対しても適用でき、$e$もまた、無理数であり超越数であることが示される。

ここまで来ると、円周率は更には検定の結果が示唆するように正規数なのでは?という妄想が広がるが、再び正規数 - Wikipediaを参照すると、

例えば、2の平方根、円周率、ネイピア数はそれぞれ正規数だと信じられているが、その通りか否かは未だ謎である。

とある。比較的新しい確率論の本にも同様の記述があるので未解決問題なのだろう。案外なんだかんだでごく普通であるところの正規数がどういったものがそうなのか分からないというなんとも奇妙なことになっているのだ。